ときめキッス

主に好きな映画のメモ。ネタバレ注意。

ジュリアン・ムーアがLGBTQキャラを演じた映画まとめ

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(画像引用元: 映画.com 『ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気 』)

こんにちは。管理人のもちごめ(20代・女・L寄りのP)です。ジュリアン・ムーアが大好きです。数年前から書き溜めていて、自己満で非常に長く、余談と脱線が多いまとめですが、どうぞよろしくお願いします。(?)

※注意※
タイトルにLGBTQとありますが、GとTは含まれません。同性愛者キャラクターだけでなく、「同性と絡むストレート」の例もあります。私の独断でセクシュアリティをカテゴライズしていますが、作品の中でセクシュアリティをハッキリ語られたものは少なく、作品それぞれの背景や状況が違うため、参考程度でお願いします。また、あらすじのプチネタバレや、キスシーン・ベッドシーンの有無についてなども含みますので、ご理解をお願いします。作品を観たことのある方にもない方にもおすすめできるように心がけています♡

 

ジュリアン・ムーアあるある、百合キャラが多い。

f:id:tokimekiss:20170919021420j:plain(画像引用元: filmzCHLOE/クロエ』 )

彼女の出演作品を好んで見ている人ならもうお分かりだと思いますが、彼女は演じるキャラクターの中で、女性と絡むことが多いです。嬉しい~!! 

傾向としては、シスジェンダー(身体的な性と性自認が一致)のフェム(女性的な見た目)で、レズビアンの時もあれば、女性と関係を持つストレート役など様々です。ストレートと言っても、フレキシブル(状況によって変わる)やクエスチョニング(迷っているorわからない)、フルイディティ(固定せずに揺れ動く)の可能性が高いと思われます。

私は百合キャラを演じているジュリアン・ムーアが大好きです。これを読んでいる全ての皆様に、彼女の魅力に存分に浸ってもらえるよう祈っています。

私と一緒に、ジュリアン・ムーアに恋してください。

 

『サイコ』 (1998)

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一番最初から特別な例で申し訳ないのですが、作中でセクシュアリティについては全く出てきません。しかし、ジュリアン・ムーア演じるライラが、インタビューでレズビアンキャラクターとして言及されていました。ヒッチコック監督のオリジナルの『サイコ』は1960年版で、ジュリアン・ムーアが出演しているのはリメイクされた1998年版です。レンタルする際はお間違えのないように!

ライラは主人公マリオンの妹で、1960年版のライラは上品なワンピースで落ち着いたキャラなのですが、1998年版のライラは薄いパーカーに黒いパンツと革ベルト、リュックという軽装で、性格もサバサバっぽく見えます。ホラー映画で後半まで生き残るタイプの強い女性として描かれています。長めのボブが非常にかわいい。ウインクシーンもめっちゃかわいい~!!

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ジュリアン「私はただ、ヴィゴ・モーテンセン(サム役)に対する性的興味がゼロに見えるように演じていただけ」とインタビューで言っています。台本や監督の指示でレズビアンキャラになっていたのか彼女の意思なのかは分かりません。リメイク版でレズビアンってことは1960年版のライラもレズビアンってことになるのかな?気になって眠れません。
観るほうは正直「セクシュアリティなんか気にならねえよ!」って思うような映画なんですけれども、ライラのお顔と髪型が私の好みだったため書きました。(1998年版はどうしてもパロディにしか見えないですが。)

話は変わりますが、インタビューでジュリアン・ムーアは「100%ストレートですか?」と聞かれて「ええ、多分。いえ、違うかも。本当のことを言うと、セクシュアリティは流動的なものだと思う。親しい関係というのは性別によるものではなく、1人の人間と一緒にいるということ。」と語っていますよ。

(画像引用元: amazonIMDb ) (インタビュー記事: OUT、 E!NEWS )

 『サイコ』まとめ

セクシュアリティ レズビアン
女性とのキスシーン なし
女性とのベッドシーン なし
パートナー 不明

 

めぐりあう時間たち』 (2002)

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時代の違う3人の女性のストーリーで構成されており、ニコール・キッドマンジュリアン・ムーアメリル・ストリープがそれぞれメインキャスト。3人を繋げるアイテムは実在する小説『ダロウェイ夫人』。……というのが本来のテーマですが、内容が難しいので、3人全員が「作中で女性とのキスシーンがある」という裏テーマで視聴するのもおすすめです。百合脳でごめんなさい。(残念ながらメイン3人のうち2人がキスするシーンはありません)

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ジュリアン・ムーアは、一見幸せな家庭のはずなのに心の中でモヤモヤを抱えて生きている主婦・ローラを演じています。旦那の誕生日を祝うため、息子とケーキを作っていると、友人女性が訪問し、不妊治療中で病気が見つかったと明かされる。泣きだす友人を慰めながらローラはそっと口づけをしてしまう。

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1950年代ということもあって、ローラのファッションがすっっごくオシャレでかわいいんですよ~~~。パーマボブ超絶かわいい。お顔もかわいい。

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この時代のLGBTはカミングアウトなんてもってのほかで、現在のようにLGBT仲間を探すことも難しかったでしょうから、LGBTの自覚があっても異性と結婚し、自分を抑え込んで暮らす人がほとんどなのです。3人の女性のストーリーの中で、私はローラに一番感情移入しました。出産経験も予定もないですけどメンタル的な意味で。

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(画像引用元: aladin )

めぐりあう時間たち』まとめ

セクシュアリティ 隠れレズビアン
女性とのキスシーン あり
女性とのベッドシーン なし
パートナー 男性

なぜ隠れレズビアンなのかは本編を最後までご覧ください。 

『50歳の恋愛白書』 (2009)

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(画像引用元: amazon )

邦題がイマイチと評判(?)の作品です。ピッパ・リー(ロビン・ライト)の人生の今までとこれからを描いていて、ジュリアン・ムーアはピッパが10代の頃の回想シーンで登場します。

母親との関係に苦しみ、叔母の家に逃げるピッパ。叔母のルームメイトだという小説家の女性・カット(ジュリアン・ムーア)に出会い、危険な香りのする彼女に少しずつ惹かれていく。ある日カットは小説の資料を撮影するためにモデルの友人を呼び、ピッパも加え3人でちょっぴりエッチな撮影会をする。若い頃のピッパはブレイク・ライヴリー

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(画像引用元: IMDb )

ピッパの叔母とカットは明らかにパートナー同士ですし、ルームメイトという名のカモフラあるあるですね。ジュリアン・ムーアの総出演時間は10分もなし。セクシーなウインクを2回、拝めます。ブレイク・ライヴリーとのキスシーンは残念ながらありませんが、妄想が捗るようなちょっとエッチなシーンはあるので安心して下さい。

youtu.be

ソフトフェミニズムな映画になっております。ダメ男キャラのキアヌが見ていて辛い。

『50歳の恋愛白書』まとめ

セクシュアリティ おそらくレズビアン
女性とのキスシーン あり
女性とのベッドシーン なし
パートナー 女性

 

さらに美しくなった現在のブレイク・ライヴリーと共演してほしい~~!!

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(画像引用元: Instagram )

余談ですが、ブレイク・ライヴリーアナ・ケンドリックが共演する新作の百合サスペンス?的な映画『A Simple Favor』を非常に楽しみにしています。(この記事を書いているのは2018年9月です) ブレイクのスーツ姿カッコよすぎて泣ける。

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予告ではまだ出ていないのですがインタビューによれば本編で2人のキスシーンがあるようです。ありがとうございます。

 

CHLOE/クロエ』 (2009)

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DVDジャケットだけ見ると、女VS女の醜い不倫バトルか何かかな?と思いますよね。私もそうでした。アマンダ・サイフリッドは国宝レベルの髪のツヤだし、ジュリアン・ムーアも美しくてかわいい人妻で、個人的にすごくお気に入りの作品です。リーアム・ニーソンも好きな俳優なので、つまり私のための映画か!?

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夫のデヴィッド(リーアム・ニーソン)が浮気しているのではないかと疑うキャサリン(ジュリアン・ムーア)は、高級レストランの化粧室にて、娼婦のクロエ(アマンダ・サイフリッド)と出会う。キャサリンはなんとなくクロエに惹かれ、後日再会して「夫が好みそうなタイプね。」とつぶやき、クロエに夫を誘うように持ちかけます。クロエは言われた通りにデヴィッドと会い、起こったことをすべてキャサリンに報告します。

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デヴィッドとの行為について細か~く丁寧に語るクロエ。なんやかんやでキャサリンとクロエのベッドシーンがあります♡ クロエがタチで、キャサリンはあくまでストレートとして夫を想像しながら…な感じですが、クロエはキャサリンに好意を抱いている様子。

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キャサリンがバイやバイキュリアスとは言い切れないものの、キャサリンは精神的に不安定で脆く、「若い子に気に入られて流されるままになってしまった」と言えば分かりやすいかもしれません。好きです、こういうの。

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予告で分かるようにサスペンス映画です。キャサリンのオフィスや夫婦の家がかなりキレイな点も見どころで、ガラス張りやインテリアに見惚れますし、クロエとキャサリンのヘアメイク&ファッションも上品。私が特に好きなシーンは、クロエがキャサリンのお洋服とハイヒールを見ながら感じているシーンです♡ 観た方なら、絶対わかっていただけると思います。
(画像引用元: IMDb )

 『CHLOE/クロエ』まとめ

セクシュアリティ ストレート?ヘテロフレキシブル?フルイディティ?
女性とのキスシーン あり
女性とのベッドシーン あり
パートナー 男性

 

アマンダ・サイフリッドで百合と言えばジェニファーズ・ボディ(2009)もオススメです。ミーガン・フォックスとのエッロいキスシーンがありますよ~!!!

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学園モノですが一応ホラーで血やグロ描写があるのでご注意を。観るの面倒くせえよ~キスシーンだけ見せてくれよ~っていう方はこちらへどうぞ♡(YouTubeに飛びます)(動画のコメント欄が、このシーンによってセクシュアリティを見失っているノンケ女子が多くてかわいい)

 

キッズ・オールライト』 (2010) 

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(画像引用元: amazon )

20年ほどの付き合いのレズビアンカップル、ニック(アネット・ベニング)とジュールズ(ジュリアン・ムーア)。1人の精子から別々に体外受精して2人で産んだ娘(18)と息子(15)の4人で暮らしています。子供たちは生物学上の父親(精子提供者)に会ってみたいと思い、家族の空気が少しずつ変わり始めます。

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予告で嫌な予感がした方や、ノンケNTRに心当たりのあるレズビアンやゲイにはおすすめできないかもしれません…。本編での打撃を減らすためにも小ネタバレをしますが、ジュールズと精子提供者ポール(マーク・ラファロ)の不倫シーンがあります。私はなかなかに胸糞悪くなりましたが、ジュリアン・ムーアが結局かわいいので許しました。お団子ヘアかわいい。

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レズビアンカップルの間に精子提供者が入り込んで不倫、という表現をしてしまうと正直ちょっとムッとしちゃうのは分かります。しかし、相手に不満があってモヤモヤしていて…というノンケカップルの不倫とあまり変わらないのではないかなとも思います。ジュールズが流されてしまってるのが悪いですけれどね。

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アネット・ベニングもすごく良い演技をするんですよね~。ニックに感情移入しちゃうタイプの方はしんどくなると思います。(私) いろいろあるけどこういう家族もなんだかんだ、ありだよねっていう映画でございます。ちなみに、監督のリサ・チョロデンコレズビアンで、精子提供されて出産しています。
(画像引用元: IMDb )

 

キッズ・オールライト』まとめ

セクシュアリティ レズビアン
女性とのキスシーン あり
女性とのベッドシーン あり
パートナー 女性

 不倫がバレてブチ切れニックの「ストレートになっちゃったの?」の返しで「それとこれとは関係ない。」とジュールズが言っていたのでセクシュアリティはそのままにしました。頑張れジュールズ。

 

マップ・トゥ・ザ・スターズ』 (2014)

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(画像引用元: Yahoo!映画 )

ハリウッドの闇だったり社会風刺だったり、いろいろな意味で問題作の登場です。『キッズ・オールライト』で娘役だったミア・ワシコウスカが危なっかしい女の子アガサを演じています。ジュリアン・ムーアは落ちぶれたハリウッド女優のハヴァナ

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ハリウッド業界のことなんか何も知らない私でも、妙にリアルさがあるようで怖くなります。ハヴァナはストレートっぽいですし本編中で特にLGBT要素はないと言ってもいいのですが、一応リストに含めた理由は、ハヴァナが参加する男1女2の3Pシーンがあるんですよ。ミア・ワシコウスカは参加していません…。

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「男性に見られることを前提とした百合絡み」というのが苦手な方もいると思いますので詳しくは書きませんが、男性に電話が鳴り、一歩引いた場所で女性2人の絡みを見ているわけですね。女性側に主体性があまりない状態の絡みです。ハヴァナも別に楽しくなさそうでした。映画の内容ガン無視で3Pシーンのためだけにこれをリストに入れました。(正直)
(画像引用元: IMDb )

 

マップ・トゥ・ザ・スターズ』まとめ

セクシュアリティ おそらくストレート
女性とのキスシーン あり
女性とのベッドシーン あり
パートナー 不明

 

『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』(2015)

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(画像引用元: 映画.com )

ついに来ました。ラストです。刑事のローレル(ジュリアン・ムーア)は、町のバレーボール会で20歳以上も年の離れたステイシー(エリオット・ペイジ)と出会う。番号を交換してクラブで踊ってお喋りしてどんどん仲良くなり、一軒家を購入して一緒に住むことに。順風満帆に見えたその時、ローレルに末期のがんが見つかる。

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(画像引用元: 公式サイト )

前半はものすっごく幸せなレズビアンストーリーなんですけれども、後半は泣ける病気モノで社会と戦う展開なんですよね。病気モノがイヤというわけではないですし実話なのでどうにもならないのですが、どうしてただ幸せなレズビアン映画にしてくれないんだ…(頼む)

www.youtube.com

ボイのエリオット・ペイジが抱きしめたくなるほどかわいいです。家を買って2人でペンキ塗りながらイチャイチャするところ、飼いたい犬の話で盛り上がるところ、最強にかわいい。

 エリオット・ペイジはもともと好きでしたが、2014年にレズビアンをカミングアウトしてからさらに好きになりました。そして2018年、ご結婚おめでとうございます。

※追記 2020年12月、トランスジェンダーを公表してエリオット・ペイジに改名したことをうけ、記事内の表記をエリオットに変更しました。デッドネーム(旧名)の使用は出来るだけ控えるようにしましょうね。

 

『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』まとめ

セクシュアリティ レズビアン
女性とのキスシーン あり
女性とのベッドシーン あり
パートナー 女性

 

最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。あなたの貴重な時間をこんなクソ長いまとめに消費してしまいましたね。お疲れ様でした。

このリストのほかにもエデンより彼方に(2002)や美しすぎる母(2008)、シングルマン(2009)もLGBT関連映画なのですが、ジュリアン・ムーアのキャラはおそらくすべてストレートです。ゲイ映画にストレート女性の役で出演しているという形ですね。

今後も女性とのラブシーンを期待しています。よろしくお願いします。

 

 

 

 

~どうでもいいあとがき~ 

キャラのセクシュアリティについて考えていて、不毛なことしてるなぁと少し思いました。こう感じるのは私が自称パンセクだからなのかはわかりませんが、人のセクシュアリティなんかどうでもよくないか?と思ってしまうこともあるわけです。その人が魅力的だと思えば好きになっちゃうし、好き同士でくっついている2人を見て周りが何を言ってもムダだな~って。同性と付き合いまくってもノンケと言い張る人だっていますし、定義なんてないですから、カテゴライズそのものが無意味に思えたりします。これから変わっていく可能性があるのに名前のついた箱の中に自分を入れてがんじがらめになることもあります。人類みんなフルイディティ説。意味のわからないことを長々と書きましたが、私はジュリアン・ムーアの演じるキャラクターがレズビアンでもストレートでも関係なく彼女そのものが好きなんですよね~。そして今の私は女の子が大好きだ~~~!!!!

映画『いまを生きる』のニールやトッドがもし、セクシュアルマイノリティだったら…?

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ロビン・ウィリアムズ主演、1989年の青春映画『いまを生きる』(原題 Dead Poets Society) をご覧になったことがあるでしょうか。

ラストに関わる重大なネタバレをしていますので未試聴の方はページを閉じるか、レンタルでもオンラインでもいいので映画を観てから戻ってきてください♡

キーティング先生の名言などは出尽くしていると思うので、私が書きたいのはニールについてです。

この記事には下世話な妄想を含みますので閲覧には注意してくださいね~!

言いたいことが言えなかったニール

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作中の演劇で主役を演じ、父親が決めた進路(医者)よりも自分のやりたいこと(お芝居)を見つけたニールは、いい子症候群で父親に逆らえず、自分の言いたいことを言えないままモヤモヤしています。思いを「理解」してもらうどころか、「解放」することすら出来ない状態。これは、LGBTQ+(性的少数者/セクシュアルマイノリティ)における、クローゼット(カミングアウトしていない、または出来ない状態)と少し似ていると思いませんか?言いたくても言えない。言ったところで周りに何を言われるかわからない。信頼している人にわかってほしい。わかってくれなくとも、伝えるだけでも伝えたい。

もしニールがゲイだったらどうしていたか

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ニールが自分で決めた進路や人生とセクシュアルマイノリティを一緒にするなと思われるかもしれませんが、ニールがゲイだと仮定して、終盤で父親へ思いを伝えようとしたシーンでニールはカミングアウトを出来たでしょうか?父親に「お前の言いたいことはなんだ?ほら言ってみろ!」と高圧的に言われ、同じように「何もない」、と言いたいことを飲み込み、ほぼ同じ結末になる可能性が高いように思います。

少し違うところは、ニールにとってはお芝居がすべてであり、「明日から陸軍学校へ転校し、ハーバードに行って医者になれ」、と10年プランで言われたらそりゃもう、逃げ道を完全に断たれたようなものです。明日からお前は異性愛者になれ、と言われることはおそらくないですよね。だからといって、カミングアウト後に死を選ぶ可能性がゼロではなく、その選択をする人が実際にいます。

自分の中でモヤモヤしていたものが晴れ、人生が輝き始めた瞬間、信頼したいはずの身内からズシーンとフタをされたような気持ち。カミングアウトをしなくても生きていくことは出来ますし、勉強や仕事の進路を変えても生きていけます。しかし、否定されたり挫折したりすると、そこで目の前が真っ暗になって、人生がストップしてしまったような気になるんですよね。その気持ち、すごくわかります。

 

ニールとトッドのゲイ説

ところで、海外のサイトを見ていると、ニールはもしかしてゲイだったのではないか?などと昔からずっと考察(そして妄想)されています。そしてイーサン・ホーク演じるトッドも、彼自身で気付いてはいないけれどゲイもしくはバイなのでは?と思えます。想像と仮説に過ぎませんが、クィア解釈が可能なのです。

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転校してきて不安な状態の中、ニールみたいなどこにでも連れて行ってくれるような陽キャに優しくされたらそりゃ惚れますよね~!?お城から連れ出してくれる王子様タイプ。しかしトッドは性的なことや自身のセクシュアリティを自覚するまでいかないくらいにとんでもなくピュアで、一般の思春期男子のような雰囲気はあまり見られません。転校前に女の子に恋をしていたとも想像しがたいです。

そしてカミングアウトまで非常に時間がかかりそうなタイプというか、自分のことに気付くまでに時間がかかるタイプだと思います。気になったことはすぐにやってみるタイプのニールとは正反対。トッドは他の生徒に対してはそこまで心を開いてなさそうですし、ニールだけが心の拠りどころで、ニールセクシュアルといったところでしょうか。

 

死せる詩人クラブのメンバーであるノックスは女の子に恋をしていて、チャーリー(ヌワンダ)はクラブの集会に女の子を連れて来たり、「この学院に女の子を入れましょう!」とか言ったりするぐらいなのでおそらくヘテロではないかな?すごく個人的ですが、チャーリーは「好きになったら全員抱く」みたいなパンセク(タチ)だと嬉しいです。

集会で他のメンバーが女の子と話す中、ニールやトッドはあまり女性に興味がなさそうに見えました。男子校ノリについてはよくわかりませんが、同性の集まるコミュニティに急に異性が入ってくると、なにやら空気が変わる感じが正直ありますよね。その一瞬の嫌悪によるものなのかどうかはわかりません。

世界から隔絶されたかのような絆

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ニールとトッドは、彼らがクラブの他のメンバーに対して持つ感情とは別の、なにか特別な感情をお互いに抱いていて、周りが僕らをゲイと言っても別に構わない、というレベルの深いところで繋がっているようです。彼らが自覚しなくともプラトニックに両想いだったのではないでしょうか。ニールがいなくなった時のトッドの悲しみは、元々ニールをよく知っていた他のメンバーたちとは明らかに違います。

ニールとトッドの会話で好きなシーンは、トッドのもとへ両親からの誕生日プレゼントとして去年と同じデスクセットが届き、屋上に座って落ち込んでいる様子のトッド、そこへニールが「これ良いじゃん!こんな良いデスクセットがあれば野球ボールだってフットボールだっていらない。僕がデスクセットを2回買うことがあれば絶対にこれを買う、2回とも。」と不自然に褒めちぎり、続けて「ほら、この形、なんか空気力学的じゃない?わかる?このデスクセット飛びたがってるよ。世界初の空飛ぶデスクセットだ!」と言ってトッドに渡し、トッドは屋上からデスクセットを投げ飛ばす。そして2人が笑い合う。ニール「心配すんなよ。どうせ来年またもらえるって」ズキューンじゃないですかコレ。カッコイイし、面白いし、これはトッドもさすがに惚れる。落ち込んでいるときに自分を笑わせ元気づけようとしてくれる姿、惚れるしかないじゃん~!? 

※ちなみにデスクセットとは、ペン、ペン立て、マットなどのステーショナリーセットのようなものです。まあ、学生へのプレゼントには最適だとは思いますけど2年連続はちょっと…ね。

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(引用元: WOOD ARTS UNIVERSE)

 
ここまで書いて分かると思いますが、BL好きの方にはたいへんオススメの映画となっております。男子校とか女子校モノっていいですよね~。しかも全寮制って夢があります。私は共学出身で何も知らないので、妄想の対象にしてしまい申し訳ありません。すてきな男子校映画・女子校映画があれば教えてください。男子校や女子校において同性に惹かれるのは思春期特有の一過性のもの、と言う声をたまに聞きますが、そんな声は聞き流してどんどん恋しましょう。自分の「好き」を否定してあげないでくださいね。

 

親の言うことがすべてじゃない

LGBTQとは離れますが、2009年のインド映画『きっと、うまくいく』の中で、ニールと同じように父親が厳しく、進路と人生を決められている大学生の男の子がいます。母親は一歩下がって沈黙、という図もほぼ同じです。

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(引用元: amazon)


その大学生も、決められた道とは別の、自分のやりたいことがあります。しかし「父が許さない」、と諦める一歩手前。父親と面と向かって話し合いをし、「一度でいいから僕のわがままを許してくれ」と懇願すると、父親は理解し、「自分の人生を生きなさい」と言います。ニールも父親からのこの言葉を求めていたはずなのにそれは叶わず、あんな結末になってしまったのがとても辛いです。

『きっと、うまくいく』で、非常に教育に厳しい学長が出てくるのですが、学長の息子は入試に3度失敗し電車に飛び込んで亡くなっています。圧力によって追い込まれたためだと思われますが、学長はただの事故だと言い張ります。そんな学長でも、娘(亡くなった息子の姉)が出産して孫が生まれた時には「お前は好きなものになれ!」と自由に人生を生きることを望んでいます。学長の息子とニールは同じように追い込まれ、死を選択しました。なぜ彼らは死ななければならなかったのか。ニールの父親を説得させるためには何が必要だったのでしょうか。

決められた道から外れることはイコール死につながるわけではありません。私も、〇〇ができなかったら死ぬしかない、と考えることがよくあります。でも、できなくてもいいんですよ。道から外れても、また別の場所で生きていく方法はたくさんあります。自分は閉鎖的な空間にいるのだ、と思いすぎないようにしてください。記事タイトルから大きくズレてしまって申し訳ないです。

 

トッドたちは今?

『いまを生きる』はキーティング先生が教室を出て映画が終わります。後日談的なものが一切描かれておらず、「良い先生だった…」という雰囲気でエンディングを迎えますが、生徒たちはその後どうなったんでしょうか!?!?気になって仕方ないのですが!?

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トッドはニールのことばかり考えすぎて自分を追い詰めたりしてない?ニールロスでうつになったりしてない?ニールより好きな人は今後たぶん現れないと思うしこの先の人生ずっとニールのことが頭の隅っこにあるだろうけど、1人になった寮の部屋でどう過ごしてる?ちゃんとご飯食べてる?放校処分にされたチャーリーは何して生きてる?女の子と遊んでる?

もうほんとトッドに至っては、過保護にならざるを得ないです。映画をご覧になったならわかりますよね?どうかトッド、そしてこれから一緒にたくさんの時間を過ごすはずだったニールも、ともに幸せに生きていける世界になりますように。

 

 

 

(DVDジャケット引用元: amazon記事内キャプチャ引用元: YouTube)

 

映画『タンジェリン』のラストシーンの意味と解説【ネタバレ】

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全編iPhone5sで撮影され、LGBTQや移民などのマイノリティの暮らしをコミカルに描いたことが話題になった2015年の映画『タンジェリン』を観た。

コインランドリーでのラストシーンに胸が熱くなったのだが、ハフポストに興味深い記事があったので、3年遅れで要約メモするぞ~!

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※ラスト付近とエンディングについてのみ言及するので、本編を観終わってから読むことを推奨!

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(引用元: 公式Facebook)

ラスト10分のあらすじ

シンディの親友・アレクサンドラが、シンディの交際相手と1度浮気したことが発覚。シンディはアレクサンドラに対して「あなたたち、お似合いよ」と静かに言い残し、足早に立ち去って行く。アレクサンドラは謝りながら追いかけるが、シンディは無視して歩き続ける。しばらくしてシンディは立ち止まると、「ひと稼ぎして行くから帰って」と言い、客を探しに行く。 

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(画像引用元)

しかし、1台の車に声をかけたシンディは罵倒されながらカップに入った尿をかけられ、髪や服が汚れてしまう。近くにいたアレクサンドラはシンディに駆け寄り、手を引っ張ってコインランドリーに連れて行く。

洗濯するため上着を脱がせ、アレクサンドラがシンディのカツラに手をかけると、シンディは一旦拒否するも、カツラを脱いで投げ捨てる。

コインランドリーのベンチに腰掛けるが、しきりに店の外を確認して落ち着かない様子のシンディ。それを見たアレクサンドラは自分のカツラを脱いでシンディに被せる。

2人は見つめ合ってお互いの手を握り、そのまま幕が下りる。

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トランス女性にとってのカツラが意味するもの

書いているだけで思い出して泣きそうになってしまうシーン。このシーンについての記事がこちら。↓(英語記事)

www.huffingtonpost.com

※ここでは分かりやすくするため、MTFをトランス女性、ウィッグをカツラと表記する。

記事の一部を意訳&要約すると、トランス女性にとって、カツラは非常に神聖なものであり、パブリックな場でカツラを脱ぐことは、裸になったも同然なのである。"彼女"が"彼女"でなかった頃を思い出させてしまう。

演じたのがストレートの女優であれば、もしかしたら簡単に出来ることかもしれないが、シンディ役のキタナ・キキ・ロドリゲスとアレクサンドラ役のマイヤ・テイラーはそうではなかった。自身もトランス女性である彼女たちは台本を飲み込むのをためらい、密室のセットを要求した。そのシーンを友人や見物人に見られることを嫌がり、スタッフすらもコインランドリーの駐車場で待機させて撮影した。

彼女たちはこのラストシーンを愛したが、同時に憎んでもいた。このシーンの意味を理解した上で、トランス女性である自らの記憶や気持ちと向き合わなければならなかったためである。

ショーン・ベイカー監督は、トランス女性のカツラを脱がせることが2人の女優をどう感じさせるかを考慮し、通常のシーンのようにいくつものテイクとアングルで作り上げることを望まず、ベッドシーンを撮影するかのように慎重に挑んだ。なぜなら、彼女たちにとっては裸だったから。1テイクのみで撮影が終了し、ほっとしたと語っている。

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(引用元: 公式Facebook)

一見、なんてことないように見えるラストシーンだが、2人の女優にとっては大きな勇気と決断が必要だった。ラストシーン撮影後に監督は、「本当にありがとう。難しい撮影だったけれど、特別な何かを感じることが出来たよ」と、勇敢な彼女たちを抱きしめたという。

アレクサンドラは、カツラを脱いだシンディを見つめ、自らのカツラを被せてあげた。つまり自分も裸になることで、最大級の敬意を払ってシンディへの罪を償った。友情の証と言ってしまえばチープになるが、そんなものでは言い切れない絆がそこにはあるに違いない。

 

余談

ラストシーンを何度も見返していてふと気付いた。この映画が全編iPhoneで撮影されたことを、本編の序盤ですでに忘れていた。宣伝広告ではそのことばかりがピックアップされがちだったにも関わらず、ストーリーや音楽にのめり込んでいたので少し画質が粗いかなという程度の感想だった。言われなければ気付かなかったと思う。

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(引用元: YouTube Academy Museum: The iPhone From "Tangerine")

メインの女優2人は演技未経験で、大きい機材などがあると身構えて緊張してしまうだろう。撮影側も身軽に動きやすく、様々なアングルで撮ることができるのだという。撮影の手法や技術に詳しくない私のような人間でも、メリットがたくさんあることがわかる。映像関係に興味のある人にとっては身近で夢のある撮影法なのかもしれない。

しかし、この作品にとってのiPhoneはあくまで低予算で効率的に撮影するためのツールであり、「全編iPhoneで撮影された映画」と大きく宣伝されて内容が雑に扱われるよりも、「キャストの演技が素晴らしく、リアルでポップなマイノリティ映画」として認識される方が、監督にとっても出演者にとっても良いことなのではないか、と思う。たまたまiPhoneで撮影されているだけなのだ。

 

 

 

 

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初めまして~管理人のもちごめです!LGBTQや映画のことについて、好きなときに好きなだけ更新します。年間150~200本くらい映画を観ています。

年は20代半ば、シスジェンダー♀、L寄りのP(パンセク)で、好きなタイプは笑いのツボが浅くてよく笑う人。現在は恋愛にあまり興味がなく、パートナーはいません。

好きなものは映画とアイドルと百合。ひとりの時間が大好きです。常に現実逃避して生きています♡

 

過去に映画・ドラマ系のWEBメディアでのライター経験があります。閲覧数が多く検索結果上位の記事もいくつか書いていましたが、久しぶりに覗いてみると、サイトの謎リニューアルによって画像がすべて削除されスカスカの記事になっていて驚きました。笑

はてブロにまだまだ慣れていませんが、よろしくお願いします~!